登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島) 登校拒否も引きこもりも明るい話


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体験談

2012年3月発行ニュース
登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島)
会報NO.186より

登校拒否を考える親・市民の会(鹿児島)では、
例会の様子をニュース(会報)として、毎月1回発行しています。
その中から4〜5分の1程度をHPに載せています。


体験談(親の会ニュース)目次はこちら




「今」を、「ここ」を、「私」を大切に

2012年2月
例会報告(抄)



みーやさんの息子さんが「俺って幸せだなあ。お母さんになんでも言えるし」と言いました。数か月前まで、「死ぬ。死ぬ」と言っていた息子さんです。みーやさんの安心が大きくなるにつれ、息子さんの安心も大きくなっていったのですね。この頃は「いないほうがよくね?」と言う息子さんに「そんなことない!」と答えると、「よし!」と、それで終わるようになりました。以前と全く違います。

なぎささんは、認知症の叔母さんにとことん付きあいます。「そういう私はとても立派だなあ」と言います。

ここさんは例会後HPの掲示板に「今まで無理して良い奥さんを演じてきた。自分を大切にしてなかった」「今、ここを存分に楽しんで、味わって」と書き込みました。

ジュンさんは、「親の会で辛い体験を話すことができて、みなさんの話も聞けて、本当に気持ちが楽になった」「以前は家族のために自分が犠牲にならなくてはと思っていた」と話します。子どもたちのことも、堂々と見ていられるようになりました。

じぇりさんは、ご夫婦の仲がいっそう深まったと言います。そして、絵に夢中になっている息子さんについて「何かのためにではなく、今楽しいからやっている」「すごいな」と感動します。

進級、卒業(退学)の時期です。親子の信頼関係がほんものかどうか問われる時期でもあります。まつぼんさんは自分の気持ちを学校にちゃんと伝えることができ、格段に強くなってきました。

「息子との関係が不安」と言っていたもりちゃんも、担任に「退学届(の書類)を送ってください」とはっきり言うことができました。勇気をもって息子さんの意思を確かめ、「お母さんはあなたが生きていてくれれば、それだけでいいから」と言えました。感動ですね。

「完全に生まれ変わり、毎日がすごく楽しい」と、ちなちゃん。「親子でデズニーランド、ひとり京都旅行」と嬉しそうなカエちゃん。「息子との会話が嬉しい」とNさん・・・。

みんな素敵だなあ。そんな自分をもっともっと「私ってすごい!」と褒めようよ!

感動の2月例会でした。






目次

1 「俺は幸せだな。お母さんに何でも言えるし」  みーやさん(Kさん)

2 「将来はお母さんみたいになりたい」  かえちゃん

3 私はえらいなぁ、立派だなぁ   なぎささん

4 私が動じなければなんとかなる   ジュンさん

5 自分の気持ちに無理してるなと気がついて  重則さん・淳子さん





「俺は幸せだな。お母さんに何でも言えるし」

みーやさん
(Kさん)




先月の末にすごく不安になって、実は先週の日曜日に間違って公民館に来たんです(笑)。一刻も早くこの気持ちを皆さんに聞いてほしいと思って、その思い込みってすごいですよね。それでここに来たらカギがかかっていました(笑)。そこで気持ちが冷静になりました。

原因ははっきりしていて2つ事件があったんです。ひとつは今不登校のお兄ちゃんが弟のカードを盗んだんです。長男は中2、次男は小4です。そこから私は昔の悪い出来事を思い出し、落ち込んでしまいました。長男は小さい頃から家の中の物、鉛筆、ぺん、電池からなんでも自分のものにしたがりました。

もうひとつは中学校からの立志式のお知らせのプリントを見た時です。「当日は小学校の時にお世話になった担任の方々もお祝いに来て下さいます」というたった一文を見た時に、どーんと落ち込んだんです。

なんで私はこんなことで落ち込むんだろうと考えたら、やっぱり今の子どもの姿を小学校の時の先生たちに堂々と言えない、学校に行ってないけれど、元気です、幸せです、と言えない自分がいるんだなと思いました。

子どもが学校に行かないことは全然何も思っていないけれど、納得して大丈夫だというのとはちょっと違って、結局はあきらめただけなんだなと思って、それがとても嫌で、この気持ちを早く皆さんに聞いてほしいと思ったんです。

弟も半成人式でした。うちの小学校では親から子どもに手紙を書くんですが、長男が小4の頃は、「死にたい、僕はいない方がいいんでしょう、弟の方がいいんでしょう」と言っていましした。それで私は心をこめて「大好きだよ、生まれてきてくれてありがとう」と手紙を書いたんです。その時もちょっとしたケンカをしたんだと思うんですが、その手紙を読むこともなくビリビリに破ったんです。私はワンワン泣いて、そんなことをいろいろ思い出しました。

過去のことを思い出したら先のことも心配になって来て、メトロノームのように行ったり来たりして、この先どうしようと思ったんです(笑)。

お正月も楽しくて、すごく落ち着いていたのにと思って。1月で仕事が一段落して少し余裕が出てきて考えるようになったのかなということと、もう1つはダイエットをはじめてイライラしていたのかなと思ったりです。(笑)


―――今は落ち着いているの。


はい。今週の金曜日は、仕事も切羽詰まったものがないので、休んじゃえと思って午前中だけだったんですが、初めて自分のために休みを取ったんです。今まで、子どものPTAや親を病院に連れていくとか、そういうことでしか休んだことがないんです。

朝もゆっくり寝床でテレビを観ていたら、長男が来て「どうしたの」と言うので、「今日は午前中休みを取った」と言うと、顔がパッと明るくなって、すごく嬉しそうだったんです。

そして私の布団にもぐりこんできて、一緒にテレビを観ました。教育テレビで、小学校4,5年の主人公がお母さんに何か言いたいんだけれど、口ごもって言えない場面があったんです。

長男が「この子はお母さんに言いたいことが言えないんだ」「俺は幸せだな。お母さんに何でも言えるし」と言ったんです。その時私は何も考えていなかったので、「あなたの場合は言い過ぎ」と言ったんですけど(笑)、昼から職場に行くバスの中で、そのことを思い出して、すごくありがたいことを言われたんだと思いました。(―――幸せですね

実は、昔は息子は荒れて大変な時があったけれど、今は本当に甘えるし、息子が私とべたべたで、「俺はこんなマザコンでいいんだろうか」といつも言っているんです。中学生の男の子って、親を無視してしゃべらないもんだと思っていたんです。正常な思春期ではないんだと思って。「俺はこの年になってもお母さんと出かけている、いいんだろうか、よくないんだろうか」(笑)「でも韓国の男性は母親を大事にするから、俺は韓国に行けばいいのか」とかいろいろ言って。(―――かわいいね。笑)


―――すごいじゃないですか。「俺は幸せだな」と言ってくれて。何よりの言葉ですね。


「幸せだな。俺はお母さんに何でも言えて」と言ってくれました。
うちは日本一のマザコン息子と日本一の子離れ出来ていない親なんです(笑)。

昔カウンセリングに行った時に、「息子さんがそうなったのは父性が足りないからだ」「お父さんの影が薄くてお母さんが一生懸命に育てたから父性が育っていない。だから一人立ちしないんだ」と言われたことがあります。


―――おかしな話ですね。カウンセラーはときに「夫婦仲が悪いからそうなる」と言ったかと思ったら、今度は反対に、「夫婦仲が良すぎるから」などと、めちゃくちゃなことを言ったりします。「マザコン」とか、「一人立ちできていない」とか、世間の価値観に左右されない。お母さんが大好きだったら、すばらしいですよね。我が子のことが大好きだったら、なによりだと思います。

自分のために休みを取ってゆっくりできて、息子さんも喜んでくれてよかったね。でも、半日しか休みを取らなかったの?



そこが私のダメなところなんですね。月曜日に苦労したくないから、金曜日のうちに出かけて仕事を片付けておこうと思ったんです。でも、何もないのに休むというのは初めてのことでした。


―――これからもどんどん休みをとったらいいですよ。自分を大事にすることを最優先にする。過去を悔いたり将来のことを心配するのは人間を一番不安にすることですね。みーやさんは自分のことをほめていますか。


どうでしょう、なかなかです。私の母は私を38歳の時に産んで、父は50歳でした。すごく親っていう感じで、絶対に逆らえないし、言うことを聞くように育ちました。
我が家は夫がいないような状況の中で、私が子どもとすごくかかわってきました。友達みたいな親子です。まさか自分がこんな親になるとは思っていなかったし、なめられているんだろうと思います。


―――いいじゃないですか。いろんなことでじゃれ合ったり、ふざけ合ったりできて。「親をしない」っていいことです。「親の権威」を捨てて、一緒に楽しく暮らす、それがいいね。自信を持って下さい。お兄ちゃんの「死ぬ、死ぬ」コールはなくなったの?


弟のカードを取った時に私はものすごく怒ったんです。そうしたら「こんな俺はダメだ。俺はいない方がいいんだ」と言っていましたけれど、長引くことはありませんでした。

部屋から水を飲みに出てきた時に「俺っていない方がよくね?」と言って、「そんなことない」と言うと、「よし」と言ってそれで終わりました(笑)。

息子が「よろしくない、よろしくない」と言うので、私が「世の中によろしくないことは3つしかない。盗みと人殺しと自殺だけ。この3つ以外は何でもしてよし」と言ったんです。でもその盗みをしたから私は許せなかったんです。


―――みえみえなんでしょう。弟さんのカードだとわかるようにとったんでしょう。


はい。それはお互いに自分の持っている何百枚のカードをすべてわかっていますから、1枚なくなっただけでもわかるんですね。


―――私はあなたは大きく変わったと思いますよ。「死ぬ、死ぬ」と言う息子さんを、以前は心配して認められなかった。そういう息子さんを何とかして変えようと思っていました。そう思っているうちは辛く、息子さんもあなたをさらに試すようなことを言ったりしたりしてきたわけです。

ところが、あなたはかかわらないで息子さん自身にゆだねるようになると変わってきました。非常に大きな変化ですね。自分の気持ちも楽になっていくし、愛情もわいてくるし。

先月のお話で、弟さんが「兄ちゃんにカードを買ってあげるんなら僕も不登校になってやる」と言ったそうですが、弟さんも大きな変化。以前、弟さんは一歩引いて我慢しているところがあるというメールを頂きました。だけど「兄ちゃんのように僕も不登校になる」と言えるようになったのは、みーやさんの家で、すごく安心が広がってきている証拠です。



そうなんですね。自分だけではなかなか気がつきません。


―――まだ見ぬ将来に怯えて、今を台なしにしない。今を大事に、幸せに、ワクワクを見つけて暮らす。「今、幸せだなあ」という気持ちの積み重ねが、自分も家族も肯定して、先の幸せにもつながって行くんですね。






「将来はお母さんみたいになりたい」
  かえちゃん



フラダンスの衣装も買って、毎日楽しく生活しています。以前の生活では考えられないくらい充実して楽しいです。

親の会に参加するようになって、以前は毎日夫の両親と昼食を食べていたんですが、それをやめて夫と2人で昼食を食べるようにしました。

中1の娘が「将来はお母さんみたいになりたい」と言ったんです。「どうして」と聞いたら、「午前中働いて、昼から昼寝してるから」と言ったんです(大笑)。

でも「お母さん、すごく楽しそうに見える」とも言ったんです。「そんなに見える?」、「うん、見える」と言ってくれてすごく嬉しかったです。(―――よかったねぇ

以前、息子が不登校になったとき、なんとかしたいと思っていっぱい買った本もゲーム脳になるという本も、全部処分しました。


―――そんな本ばかり読んでいると不安になって、子どもにも当たるよね。


先月は私の誕生日で、息子と娘と私の3人でディズニーランドへ行ってきました。(―――それはよかったですね) 娘は金曜日、学校を休んで、金、土、日で行ってきました。しかし寒波がきていた時でとっても寒くて寒くて…。中国の旧正月の時期だったので中国の方も多かったです。パレードも観て、閉園までいました。

先週はひとりで京都へ1泊旅行してきました。夫にここでこんなのを食べたんだよとか、こんなのを見たんだよと話します。2人で旅行に行くのは無理ではないけれど、今は夫も仕事がありますし、お互いにそれぞれが好きなことをしています。(笑)


―――親の会に参加するようになって、気持ちはどうですか?


年々、楽になっていきますね。
Nさんと話したとき、「フラダンスをしたり、書道をしたりして、とっても楽しそうにみえるけど、私はまだ見つからない」と言われたんです。

私も最初、親の会へ来た頃は、皆さんが山へ登ったり、お花を育てたりという話を聞いても、自分が何をしたいのかわからなくて、何かワクワクしないといけないんじゃないかと焦っていた時期があったんです。

そんなときは何もみつからないけど、そんなことを思わなくなってきたら、したいことが見つかってきました。「ああ、これしてみようかな、あれしてみようかな」と自然に出てきました。


―――不安なときは、「冗談じゃないわ。山へ登っている場合かよ」と思ってしまいますもんね(笑)。ワクワクは「ねばならない」で見つけるものではないですね。その目で見ると毎日の中にいっぱいあるのに、それに気がつかないだけなんですね。例えば、私がもやし大好きのように、小さいことなんですね。

でも最初の頃に、あなたのお誕生日プレゼントに夫が京都旅行をプレゼントしてくれて、とっても嬉しかったと話されてましたよね
(はい)。今はもういっぱいワクワクがあってよかったですね。あなたの不安がなくなってきたということですね。

私達も家族3人でディズニーランドへ行きましたよ。達はあんな人工的なところはダメだと言っていたのに、開園から閉園までいて、一番楽しんでいたんですよ。
(大笑)






私はえらいなぁ、立派だなぁ   なぎささん



私は、施設に入所している93歳の伯母が認知の真最中で、本当に大変なんです。伯母は目つきまで変わって歩きまわるので、付き添わないといけなくて、しょっちゅう施設からの呼び出しがあります。

施設の方がひとりに付くと他の方のケアができないので、「大変なときは行きますので、電話を下さい」と言ってあるので、「今朝は落ち着きませんので、面会に来て下さい」と言ってきます。

伯母は、「昔、ある先生にお金を貸したので取りにいかないといけない」と言うんです。それが伯母にとっては当たり前のことだから、否定したらいけないと聞いていたので、「そうね、でもその先生はもう引っ越してここにいないかもよ」と私が言うと、「いや、ここなのよ」と言って民家へ入って行こうとするから、「伯母ちゃん、そこは違うよ」と言いつつ私も付き合うんです(笑)。

そういう私はとても立派だなあ、と思って(大笑)。

お留守の家があり、「ごめんください。ごめんください」とやるんです(笑)。「ほら、おばちゃん、引っ越したんだが」と言うと、「引っ越してない、引っ越してない」と言い張るんです。(笑)

本当に大変な状況なのに、自分のことを自分でほめると「世の中では自分が一番」と思えてくるんです。恥ずかしいとか何にも感じないんです。

「ああ、プラカードをもってくればよかった」と思いました。そのプラカードに「認知ですので、話をあわせてください」と書いて持ち歩けば、突然見知らぬお宅へ入って行っても、相手もびっくりされないと思って。(笑)

介護でも、親の会の考え方をしたら本当に楽だなぁと思って、以前だったら、愚痴ばっかり言っていたと思います。今は、「私はえらいなぁ、立派だなぁ」と思ったら、本当に気持ちが楽になりました。私の夫や子ども達、伯母達も幸せでしょうとみんなに言っています(笑)。楽しいです。

新沼謙二ショーのチケットもいい席が取れました。(笑)






私が動じなければなんとかなる   ジュンさん



先月は体調が悪くなって途中でひき返しました。舅の四十九日が終わってホッとしたのか、疲れがドッと出てきて…。

先月は私の母が転倒し、腰を強く打って家の中でも杖なしでは生活できなくなりました。それまでは簡単な家事はやってくれていて助かっていたんです。

小6から不登校の長男は20歳になり、「お祖母ちゃんはできないから僕が手伝う」と家事を手伝うようになりました。私が茶わんを洗っていると、「しないでと言ったでしょう、僕がするんだから」と言って洗ってくれたり、自分のご飯もフライパンでパッと作り、お風呂掃除もしてくれて助かっています。ほとんど何もしゃべらないけど、私は「ありがとう」と声をかけています。今はもう家を出るとも言わなくなり、穏やかで何も心配していません。

真ん中の長女は3月1日が高校の卒業式です。「出席日数は足りているけど、欠課日数が多いので補習を受けなさい」と学校からメールが届くようで真面目に通っています。たぶん先が見えてきたからだと思いますが、私は黙ってみています。卒業したらバイトをすると言っていますが、それも無理だろうと思っているんですが、黙っています。

次男は小6から行き渋って、中学入学後すぐに行かなくなったんですが、やっぱりお姉ちゃんと同じ高校の不登校の子どもを受け入れるドリームコースへ進学することになりました。

私は「行かなくていい」と言ったんですが、「高校を出ないと仕事がない」と言って押し切られて、受験して合格しました。試験は作文と面接で、ほとんどみんな合格するんです。今、入学準備で制服の採寸などがあり、「またかよ」と私は思っています(笑)。入学金や学費をお祖母ちゃんが出すと言って、でも「学資保険がおりたら返して」とも言われています(笑)。毎月4万円の学費がかかります。

私が娘と週末、イオンでショッピングを楽しんでいたら、その中に次男も参戦してきて、ご飯を食べに行ったり、ゲームをしたりして過ごすようになりました。次男は家でパソコンばかりしていたんですが、「外にはこんなにおもしろいことがあったんだ、僕は目覚めた」と言って(笑)、フレスポやダイエーにも行って楽しんでいます。そこへ夫も参戦してきて(笑)・・・。夫はゲームセンターが楽しいらしくて、3人でキャッキャ、キャッキャと遊んでいます。

子ども達が成長してくれたことが嬉しいです。特に長男は、壁に「死ね」と書いたり、扇風機を壊したり、トイレに閉じこもったりしたこともありましたから。お兄ちゃんはすごく成長したなぁと思っています。


―――大きな声を出したり、暴言を吐いたり、手を出すのは、追いつめられたからなのよね。理由もなくすることはないんですね。

あなたは辛かったですねぇ。お兄ちゃんが担任と学校へ行くと約束したけど、行けなくて、家に来た担任へお兄ちゃんが土下座して謝ったりしてね。夫の借金で、あなたはコンビニを経営しながらヘルパーとしても働いたり、別居中の夫の父親の介護もしたりしてね。御苦労があったけど、今は少し楽になりましたね。



本当にいろいろありました。今は実母の介護です。亡くなったお祖父ちゃんのベッドに今、母を寝かしているんですけど、「ここは死んだ人のベッドだからイヤだ」と言ってます(大笑)。新しいベッドを買っても置く場所がないし、我慢してと言って、犬も一緒に寝てますけどね(笑)。


―――お祖母ちゃんの気持ちは、十分わかります。他人の男性が寝ていたベッドに寝るなんてね。入学金はいらないからベッドを買ってと言って、買い替えてあげるといいね。


私はこの親の会にきて、自分の辛い体験を話すことができ、皆さんのお話も聞けて、本当に気持ちが楽になりました。それまでは「自分がやらなきゃ、自分が夫や子ども、家族のために犠牲になってでもやらなくちゃ」という思いが強かったので…。そうじゃないんだ、逆の考え方なんだとわかってとっても良かったです。


―――今、別居している夫とも、子ども達ともいい関係でよかったですね。


はい、落ち着いてきましたね。また今からいろいろあるかもしれませんけど、
私が動じなければなんとかなるかなぁと思っています。






自分の気持ちに無理してるなと気がついて

重則さん・淳子さん




―――重則さんはあと何年で定年になるんですか(重則さん:1年です)
あと1年で夫婦ふたりの鹿屋の生活は終わるのね。息子さんと娘さんは指宿の実家にいるんですね。先月、淳子さんは「不安はいっぱいあります」と言っていたけど、それ以上にワクワクがいっぱい出てきたのね。


淳子さん:自分でもびっくりしました(笑)。内沢さんが親の会でワクワクはと言っていたとき、その頃私は不安でいっぱいだったので、ワクワクが10個あるだろうかと思って、HPの画像掲示板に家の前に咲いたモッコウバラの写真など10まで写真を貼り付けたことがありました。


―――今は10以上あるでしょう。すごいね。毎日夕方ふたりで散歩して探検しているのね。


鹿屋はいろんな道があって、思いがけないところに出たり、めずらしいお花があったりします。


―――なんて言ったって、以前は夜遅く帰っていたのが、今は5時には帰ってくるんですものね。(重則さん:5時半です、5時15分までは仕事ですので)(笑)


そういう穏やかな生活なんですけれど、長崎の長姉から電話があると、重則さんは人が変ったみたいになるんです。二番目の姉は脳梗塞で入院しているので電話は来ないですけど、上の姉から「妹に電話してくれ」と言われるみたいです。


重則さん:上の姉から「妹はリハビリの入院先から大学病院にも行っている。何か大変なことが起こっているんじゃないか」と心配して、電話してくれと言ってきたんです。二番目の姉の夫に電話をして、またそろそろ長姉に電話をしないといけないなあと思って電話をしたんです。そしたら、そのあと妻といろいろ…。

淳子さん:長姉が私に「重則は電話したかしら」と言うので、「電話した様子じゃなかったですけど」と言ったら、「重則は何を考えているのかしら」と言うんです。その前に重則さんは低血糖で1日寝ていたんです。それから先生に言われて血糖値を毎日測って、毎日血糖値の話ばかりだったんです。

だから「お姉さん、今重則さんは自分のことで精一杯ですよ、血糖値の話しかしませんから」(笑)「大学病院に行ったのは検査じゃないですか」と言ったんです。
その日の夜も姉から電話がかかってきて、重則さんは離れたところで固まって動かないんですよ(笑)。私が「お姉さんからだよ」と言うと「胃が痛い」(笑)と言うんです。

お姉さん達から電話が来ると重則さんはガラッと人が変って、エネルギーを吸い取られているような感じがするんです(大笑)。怖いんですよ(笑)。「お姉さんが不安なときに動くということは、お姉さんは決して安心しないよ」と言ったんです。(―――偉いじゃない、淳子さん

お姉さんには「心配いらないよ、何か大変なことだったら、お兄さんから言ってくるはずですよ、と言った方がお姉さんもずっと安心するよ」と言うんですけど、でもやっぱり電話するから、やっぱりなんでも重則は動いてくれるってお姉さんは思ってしまうんじゃないのと言って…、でも納得しないで。(笑)


―――でもそのときは納得しないけど、今聞いたら納得するよね。その通りだよね(笑)。不安なことに便乗してこっちも動くと不安が増しますよね。


でも「重則は何を考えているのかしら」と言われたとたんに、私自身がすごく不安になってしまって、以前から息子に「仕事を変わるかもしれない、給料も安いし転職すると思うよ」と言われて、「うん、そうだね」と言っていたのに、姉との会話のあとに息子のことがすごく不安になったんです。不安というのは他のことも不安にしてしまうんだなと思いました。2週間ぐらい平和な気持ちになれなくて…。


―――重則さんは電話に出たくないんじゃないの。


出たくないんですよ。だから私が「はい、はい」と言って出ていたんですけど。


―――淳子さんは「はい、はい」と言うのが好きなの。(好きじゃないです)(笑) だったらあなたもイヤなことをしないことね。


そう思いました。自分に腹が立ったのは、重則さんが出たくない代わりに自分が出てあげたのに、それがムダになったから腹が立ったんだなということが分かりました。


―――あなた自身がムリしている、だから自分に腹が立つのよね。とてもわかりやすいですね。具体的なことでわかっていくのね。いっそう自分を中心にすえる、ということですね。

だから無理してお姉さんと話するのはやめよう、淳子さんもつい巻き込まれてやってしまう。本当の意味で相手を信頼するということです。親の会で言う「“しない”と“する”ようになる」です。何もしないことが実は自分はもちろん相手の気持ちも穏やかになって行きます。

重則さん、今日来てよかったじゃない。あなたはほとんどしゃべっていないけど。(大笑)


でも夫は分からないんですよ。お姉さんのために一生懸命しなければいけないと思っているし。


―――そうかな。ちゃんとわかっていますよ。だから葛藤するんじゃないの。ねばならないではうまくいかないということがね。


重則さん:日曜日に定例の電話をするのも、今日はしたくないなと思うときも、やっぱりしないといけないかなと思って電話するときがありますね。このごろは「ちゃかちゃか」と済ませますから。姉から「今までは妹から電話が来ていたのが来なくなって、なかなか他の人と話をする機会がないんだ」と言われると、やっぱりウ〜ンとなっちゃうんですね。でも、もう長い時間電話をする気はないので。

淳子さん:もうひとつ、今日のことなんですけど。息子が「職場の人ですごくお世話になっている人が辞めることになったので、家で送別会をしたい」と言っていたんです。妹に早く言いなさいと言っているのに「泣くから言わない」と言って、私に「あんなふうに育てたのは、親の責任だから責任とって言え」と言うから(笑)、なおさら親の出番じゃないと思って、ぎりぎりまで放っていたんです。

私たちが出かける前に、息子が妹に言ったみたいで、娘はそれまで台所で手伝ってくれていたんですけど、二階に上がっていってドアをバターンと閉めたりガタンガタン音がしていたので、帰ったらどんなになっているのかなと思っています(笑)。「責任を取れ」ということは、親が何もしないのが責任を取ることだと思っています。


―――引きこもっていたときあの人嫌いの息子さんが、不思議だよね(笑)。学校に行かないでずっと家にいるから足が短いんだと言っていた子がね。(足は長かったって)(大笑)


息子も、来年私たちが帰ったら「家を出る」と言っています。


―――娘さんが「お兄ちゃんがこんなこと言って困る」と言ってきたんだったら別だけど、言わないでいい。あなたの言うとおりです。信頼して、何もしない、ですね。ちゃんとふたりで解決しますよ。





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最終更新: 2012.5.25
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